親からの住宅資金の援助、いくらまで非課税?贈与税の特例をやさしく解説【2026年12月末まで】
公開: 2026年6月27日 更新: 2026年6月27日 執筆: うっちー
住宅価格が上がり続けるいま、「親や祖父母からの資金援助」は、家を買う世帯にとって現実的な選択肢になっています。宇都宮でも、注文住宅の総額が5,000万円台に乗る時代。親の援助で頭金を厚くできるかどうかは、住まい選びの幅を大きく左右します。
ただし、何も知らずにお金を受け取ると贈与税の対象になります。そこで知っておきたいのが、住宅取得のための贈与を大きく非課税にできる特例——「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」です。
この記事では、この制度を基礎からやさしく解説します。現行制度の期限は2026年(令和8年)12月31日。今年、家の購入・新築を考えている方には、まさに「今」関係のある話です。
本記事は2026年6月時点の一般的な情報です。税金は個別の事情で扱いが変わるため、実際の適用可否は税務署や税理士に必ずご確認ください。
そもそも:親からの援助には贈与税がかかる
まず前提から。個人からお金をもらうと、年間110万円(基礎控除)を超えた分には贈与税がかかります。たとえば親から500万円の援助を受けると、何の対策もなければ390万円分が課税対象になり、数十万円の贈与税が発生し得ます。
「家族の間のお金なのに?」と思うかもしれませんが、原則はかかります。だからこそ、住宅取得のための贈与には専用の非課税枠が用意されているのです。
住宅取得等資金の非課税措置とは
父母や祖父母(直系尊属)から、住宅の新築・購入・増改築のための資金の贈与を受けた場合、次の金額まで贈与税が非課税になる特例です。
| 住宅の種類 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 |
しかもこの特例は、基礎控除110万円と併用できます。つまり省エネ等住宅なら、実質1,110万円まで税金ゼロで援助を受けられる計算です。
「省エネ等住宅」とは?
非課税枠が倍になる「省エネ等住宅」は、一定の性能を満たす住宅です。2024年以降の贈与では、新築住宅は原則として**ZEH水準(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)**などの基準を満たす必要があります(耐震性・バリアフリー性で満たすルートもあります)。
最近の大手ハウスメーカーの新築はこの水準を満たすものが増えていますが、適用には性能を証明する書類(住宅性能証明書など)が必要です。「うちの家は対象になるか」「証明書を発行してもらえるか」を、契約前にハウスメーカー・不動産会社へ確認しておきましょう。
主な要件チェックリスト
特例を受けるための主な要件です(詳細は国税庁の情報をご確認ください)。
- 贈与する人:父母・祖父母などの直系尊属(配偶者の親からの贈与は対象外)
- 受け取る人:贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
- 所得:贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下
- 家の広さ:登記床面積50㎡以上240㎡以下(合計所得1,000万円以下なら40㎡以上50㎡未満も可)
- スケジュール:贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を充てて住宅を取得し、原則としてその日までに居住する(居住が確実な場合の取り扱いもあります)
最大の落とし穴:「非課税でも申告は必須」
この制度でもっとも多い失敗が、申告忘れです。
この特例は、贈与税がゼロになる場合でも、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告をしなければ適用されません。「非課税だから何もしなくていい」は誤解です。申告を忘れると、本来まるまる非課税だったはずの贈与に、高額な贈与税がかかるおそれがあります。
家の引き渡しや引っ越しでバタバタする時期と申告時期が重なりがちなので、「贈与を受けたら翌年春に申告」をセットで予定に入れておくことを強くおすすめします。
タイミングにも注意:「もらってから、払う」が原則
もうひとつ実務上つまずきやすいのが、贈与を受けるタイミングです。
この特例は「贈与された資金を住宅の取得に充てること」が前提です。住宅代金を自分で支払ったあとに親からお金をもらって補填する、といった順番では対象にならないおそれがあります。贈与 → その資金で支払い → 翌年3月15日までに取得・居住という流れになるよう、資金援助の話は住宅の契約・支払いスケジュールと合わせて早めに段取りしましょう。
また、贈与の期限(2026年12月31日)と取得・居住の期限(翌年3月15日)は別物です。年末ぎりぎりの贈与は、そのあとのスケジュールが窮屈になる点にも注意してください。
ほかの制度との関係も軽く知っておく
- 暦年贈与(基礎控除110万円):前述のとおり併用可能。特例枠+110万円まで非課税
- 相続時精算課税制度:2,500万円までの贈与を相続時にまとめて精算する制度で、この特例と組み合わせることもできます。ただし一度選ぶと暦年贈与に戻れないなど影響が大きいため、利用を考える場合は税理士への相談をおすすめします
お金の相談を受ける立場から:援助との「ほどよい距離感」
私は普段、お金や資産の相談を受ける仕事をしています。その肌感覚を正直にお伝えすると——親から住宅資金の援助を受けられる世帯は、実はそれほど多くありません。あっても手付金の一部を助けてもらう程度で、この非課税枠を満額使えるような贈与ができる世帯はごくわずかです。実際に贈与するご家庭では、500〜1,000万円の範囲が多い印象です。
また、まとまった贈与をするご家庭ほど、税金の扱いに敏感で、顧問税理士などの専門家と相談しながら慎重に進めているのが実情です。「贈与のタイミングを間違えて課税された」という話をあまり聞かないのは、そういう進め方をしているからだと感じます。大きなお金を動かすときに専門家を挟むのは、真似する価値のある習慣です。
そのうえで、私がよくお伝えしているスタンスは次のとおりです。
- 援助を受ける側:親からの贈与を過度に期待せず、自分の所得から無理なく返済できる範囲で住宅を選ぶのが無難です(予算の逆算は住宅ローンの選び方で解説しています)。援助は「あればプラス」くらいの位置づけがちょうどいいと思います
- 援助をする側(親・祖父母):贈与税の非課税枠という制度があることを頭の片隅に置いておき、余力があるのなら目一杯活用するのがお得です。同じ金額を渡すなら、制度に乗せるかどうかで手取りが大きく変わります
まとめ:援助を受けるなら「制度を知ってから」
親・祖父母からの住宅資金の援助は、制度を知っているかどうかで手取りが大きく変わります。
- 省エネ等住宅なら1,000万円(+基礎控除110万円)まで非課税
- 現行制度の期限は2026年12月31日。今年の購入・新築を考えている人は早めの段取りを
- 要件(直系尊属・18歳以上・所得・床面積・翌年3月15日までの取得居住)をチェック
- 税額ゼロでも申告必須。翌年2月1日〜3月15日を忘れずに
- 「もらってから払う」の順番と、性能証明書の準備も忘れずに
- そして何より——援助は過度にあてにせず、自分の返済力を軸に。そのうえで使えるなら、制度に乗せて目一杯活用する
住宅の予算全体をどう組み立てるかは住宅ローンの選び方と宇都宮の注文住宅 費用相場を、住まいにかかるお金の全体像はお金・制度のガイドもあわせてどうぞ。
よくある質問
- Q. 親からの住宅資金の援助は、いくらまで非課税ですか?
- A. 住宅取得等資金の贈与税非課税措置を使うと、省エネ等住宅なら1,000万円まで、それ以外の住宅なら500万円までが非課税です。さらに贈与税の基礎控除110万円と併用できるため、省エネ等住宅なら実質1,110万円まで税金がかからずに援助を受けられます(2026年時点の制度)。
- Q. この特例はいつまで使えますか?
- A. 現行の制度では、2026年(令和8年)12月31日までの贈与が対象です。過去に延長されてきた経緯はありますが、その後の扱いは税制改正しだいで確定していません。今年、家の購入・新築で親からの援助を受ける予定がある方は、期限を意識して早めに動くのが安心です。
- Q. 非課税なら申告しなくてもいいですか?
- A. いいえ、ここが最大の落とし穴です。この特例は、税額がゼロでも贈与税の申告(贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日)をしないと適用されません。申告を忘れると、本来非課税だったはずの贈与に高額な贈与税がかかるおそれがあります。必ず期限内に申告してください。
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